30 Dec 2015

小さなスパーク



面倒くさいのに追わずにはいられない。
掴めやしないのにトライせずにはいられない。
時間の無駄なのは分かっているのに費やしてしまう。

そんな感情と頭との間に生まれる葛藤は、
時々”Passion”と呼ばれることがある。

頭上のシャンデリアみたいに
キラキラと柔らく輝いて部屋を優しく照らすもの。

お金なのか、愛なのか?
と聞かれると、
迷わず”どっちも!”と答える。
それは全て内なるそのスパークの為だから
決して欲張りでもわがままでもないでしょ?

(君はいっつも、そして昔っからそうなんだから!)

あら、その声は?!

新しい家具の配置に、
ソファの生地選び。
手を出したことのないスパイスから、
廃盤になった本の収集まで。
言い並べたらキリがない。

「見てみなよ、こんな小さな部屋なのに
あらゆる物が転がっている。もう十分でしょ!」

心が引き寄せられるあらゆる方向へ、
次から次へと手を出すくせに、
辿り着いた海辺で大きな貝殻を見つけたのなら、
もう朝まで帰ってこりゃしない。
これはもう性分というもの。

人の性格はそんなに簡単に変わるものじゃない。

砂で埋もれた海水の中に、
一瞬でもキラッと光るゴールドの粒を見つけたのなら、
どこまでも掘りおこして見つけ出すまで
絶対に諦めない。
というか、諦められない。

あなたが思うより私は気まぐれじゃないのよ!

と言いたいところだけど、
それもどうやら十中八九当たってる。

だけどそこには、ちゃんとした理由があるんだから。


心の中で爆ぜた一瞬のスパークに
我が人生においてAクラスの価値を置いている。

目に見えないそのスパークは、
空気に触れた瞬間にダメになってしまうかもしれないし、
煙と化して消えてしまうかもしれないから、
ぼんやりと見逃してしまうなんて、勿体ない。

きっと、まぼろしに決まってる・・

(本当にそれでいいの??)

と、またもや天の声が囁いてくる。

そのスパークに何か意味や重要性があるかなんて、
後から考えればいいんだから、
とにかく手を伸ばしてキャッチするんだよ。

そう、あなたの言う通り。
一生なんて本当に短いもの。
もしも奇跡を起こしたいのなら、もっと集中、もっと我武者羅に!

耳を澄ませば、
心の中の火がパチパチ音を立てながら密かにそう叫んでる。

「あら、我武者羅にですって?」

「そんなの無理!野蛮極まりなくってよ!」

おっしゃる通りでございます、淑女の皆様。
それは、とても激しいものなのです。

今すぐ、シルクのグローブを脱ぎ捨てて
素手で勝負しなければ掴めないものなのです。

綺麗に整えておめかししたネイルもこの時だけはご免遊ばせ。
節だらけの指にゴールドのリング。
剥がれかけている絆創膏がなんともシュール。


寒さでシワシワになった両手をみつめながら、
「ハァ。。」
なんて深いため息をつかないで。
それは何かを生み出す手。
働き者の魅力的な手。
その傷だらけの手にはあなたの純真さとひたむきさが映るから、
ただただ美しいと思う。
小さなスパークはきっとそんな手の内にやってくるもの。
少なくとそう信じていたい。

*

今年もあっという間に終わりが近づいて、
この一年を振り返ってみたり、
来る年に思いを馳せてみたり。
少しセンチメンタルな気分に浸るのが毎年の恒例行事。

いつもブログを読んでくれている数少ない皆様、
今年一年、ただつらつらと書いたり書かなかったり、、
取り留めようのない私のつぶやきを
一緒にシェアして頂きありがとうございました笑。

2016年に向けていざ乾杯!
シャンパンでも飲みながら、
ぜひ心に弾けた気泡のような小さなスパークも、
どこからともなく訪れるひらめきも、
決して見逃すことのなくキャッチしていけますように。。


来年もどうぞよろしくお願いします!


Ai Suzuki


15 Dec 2015

So Original.



  もうずうっと長い間、
ほんの指先だけで辿っていた地図の中の細長い小道が
今、現実に目の前に現れ始めている。

気がつけば、目に映る光景も通りすがりの人々の顔ぶれも
どことなく変わっていてまるで新しい土地にでも引っ越したような気分。
そこに、行き先を尋ねてくる見知らぬ通行人。

「奥様、どちらへ?」

(えっとですね、、とりあえず奥様じゃないですし)

「あなたはどちら様ですか?」

と半分イラッとしながら聞き返してみる。

すると、しばらくの沈黙。
ピクリとも動かない無表情が「誰でも結構」と言ってる。
この人、無視出来なさそう。。
参ちゃったな、、
さてさて、なんて返事しようかしら?

”これからの未来”

・・てのはつまらないし、当たり前。
それに答え方としてセンスがない。

”理想の未来”

うーん、あまりに多くありすぎて選べない。
お金に子供に家族に時間。
素敵な家具にヴァレンチノのドレス。
眺めのいいアトリエに、それから、それから。。
あぁ、逆に惨め。


もごもごと口ごもっている目の前の相手に呆れた様子で
その通行人は次の質問を投げかけてくる。
あ、舌打ち!?
ひょっとして少しイラついてる?

「奥様、それではどんな道がお好きで??」

(だから、奥様じゃないってば!)

ふぅ、もういいや。

好きな道”

なんかイマイチ。

幸せな道”

ではあるけれど。。

うぅ〜ん、もっとしっくりくる表現があったはず。

そうだ、
私が求めているのはこの形容詞かもしれない。

オリジナル!”

これが一番ぴったりでしょ。
そう、私は”オリジナル”な道が好き。

それは舗装されていない素敵な凸凹道。
おまけに雑草だらけでお世辞にもキレイだとは言えないけれど、
この道が好きだと今胸を張って断言できる。


自分の前のみに続いている先の見えない獣道。
おぼつかない足取りに、絡まりつくツタのうねりがとても魅力的。
ジャングルの中にまだ発見されていない種の鳥が生存するように、
沢山の可能性を秘めている魅惑的な景観には、
自由な”想像”の喜びを残してくれているみたい。

「さぁ、これからどんな風に仕立て上げよう?」

そのワクワク感がたまらない。
ファッションデザイナーが一枚の布から服を作る気分って
こんなかしら。。
一流のジュエラーが一粒のダイアモンドから
世界にひとつのリングをデザインする時間のように。

ちょっと待って、、

さっきから道のあちらこちらでチラチラと目に入ってくる何かがある。
よく見ると、足元には紫色の小さな花が咲いていている。

「あらスミレさん、そんなところに居らしたのね!
なんて控えめなの!」

するとミス・パープルは答える。

「あら、これが私の在り方よ。」


あぁ!あなたにも!
オリジナルな咲き方、
それは彼女だけのオリジナルな魅せ方。
オリジナルな着こなしは、オリジナルな歩き方と同じように
その人の内側を反映する。
オリジナルな話し方にオリジナルな表現方法。
それらはきっと、そこにその人なりのオリジナルな考え方、
オリジナルな生き方が存在しているからで。

だけど、"オリジナル"でいることは意外と難しい。
オリジナルでいようとすればする程、空回り。
やっとゲットしたと思ったら、
無意識に誰かのコピーだと判明してがっかりしたり、
オリジナリティーを追うだけの日々を送れば
結局、哀れな囚われ人。
それもそのはず。
それは生まれるもので作り上げるものではないんだから。


手先がどれほど器用でも、
メレダイヤを敷き詰めた王冠を仕上げるには時間が要る。
視力がどれほど良くても、
物事の見方がずれてしまえばすべてが曇りガラス。
弁がどれほど立っても
人の心を掴むには経験と知恵が要る。

最初は誰かの真似から、
或いは、
憧れから始まるかもしれないオリジナリティーへの旅の道中では、
自分の肌に合わないあらゆる不純物は取り除かれて、
省かれて、淘汰されて、
最後に残る一握りの金の砂を見つけることのよう。

本当の“オリジナル”とは指紋ほどにユニークで、
唯一無事のアイデンティティー。 

そんな訳で、、

最近は「かわいい」と言われるよりも
「Your are so original!」
と言われたい。

-

あ、さっきの通行人!
まだこの辺りを行ったり来たり。

色んな人に質問を投げかけては困惑顔。
どの答えにもなんだか納得いってない様子ね。

あの人もきっと探しているところ。
自分だけのオリジナリティーを!

今すぐ走って言って伝えてあげるべきかしら?

あなたのその歩き方はとても魅力的だと!