31 Oct 2015

Love me, Love me!




あぁ、かわいい彼女に新しい恋の予感。
ヴァレンタインはまだまだ先だっていうのに。

あれ?

あの子ってこんなだったかしら?
いつも冷静沈着で、何が起こってもポーカーフェイス。
誰よりも大人びてて落ち着き払ってるくせに。

見てよ、あの子の顔!

赤いほっぺたに、真っ赤なリップ。
ハート型のピアスに、ネックレス。
目にうっすら涙なんか浮かべちゃってる。

それにさっき、見かけちゃったの。
バスの中で肘つきながら空一点を見つめてるところを。
一体、何があったの?
どこへ行くっていうの??

あら?

こんな曲、彼女にしては珍しいじゃない?!
アメリカンなレトロポップスなんて。
シンプルでありきたりで分かりやすい歌詞。

こんな彼女は見たことがない。
まるで夢見がちだった幼い頃にタイムスリップしてる。

全くもって驚きだわ!
キューピッドの矢がどこかしらか飛んできて、
彼女のハートを突き刺した。
なんてスウィートな痛み!


あの子はただ、街の交差点を歩いていただけ。
もしかしてそれは失敗で的が外れただけのただの流れ矢?
狙ったわけでもなんでもなかったりもする。
だけど見てよ、あんな風になっちゃうなんて。。
ほら、今もあの子の心の声がそこら中に鳴り響いてる!

「Love me , Love me!」 って。

体中の”トキメキ”が止まらないってのがバレちゃってる。

「本気になったりしたらダメよ!」
って忠告したいけれど、
「きっとまた痛い目にあうんだから!」
って警告もしたいけれど、

ハァ、もう既に時遅し、、

She is looking for a trouble みたいね。

*

そう言えば、

”トキメキが欲しい” と、ちょうどこの前誰かが言ってた。
どこに行けば”それ”を見つけられるか?だって。

”トキメキ”って、目に見えないけれど
誰もがとてもキラキラしたものだって知ってるはずで。

それはきっと恋に落ちた時の、
あの抑えられない幸せな衝動に一番近いからかしら?

モノとの出会い、人との出会い、
あるいは場所との、出来事との
思いも寄らない巡り合わせの中で発症する心地よい熱を帯びた感情。
言い換えれば、
まるで幻の宝物を偶然探し当てたような
奇跡のような贈り物。

そんなに特別じゃぁ、滅多に起こるはずないじゃない!


だけど例えば・・

90歳を過ぎたおばあちゃんが、
綺麗に塗られたラベンダー色のネイルを見た時の目に映る輝き。
まるで粉雪が夜空に待って吹き上がる光のスパークル、
言葉に変えられない感動の稲妻が彼女の心の中に花を咲かせるように、
それはどこで生まれるのか分からない。

それに、それってただ天から「はい、どうぞ。」って
降ってくるわけじゃない。

「これまで」があるからこそ見えてくる景色。
周りまわって辿り着いた今のランディング地点にふさわしい出会いが、
ふさわしいタイミングで遭遇した時にだけ
感じ取れる意味を成すその出会いの価値。

天の声:(またまたそんなつまらないこと言いだして!
その分析癖、本当に悪い癖だわ!)

それに恋も同じ。
昔にあんなにも夢中になった誰かに、
今の自分がまた同じように夢中になるとは信じ難い。
とてもロマンチックではあるけれど。。

天の声:(まぁ、なんて冷めてるのかしら!)

だって経験を積めば同時に知識もついていく。
無意識にもキャッチする情報も変わっていくし、
感覚だってそれなりに育っていく。
つまり、成長するってことね。

天の声:(それと”トキメキ”がどう関係あるの?!
あなたって、本当におヒマ。
他に考えることないの?)

それにしても・・
”トキメキ”が欲しいの願うのは、過去にそれを得たことがあるからでしょう。
だから、最後に”それ”と遭遇した時の自分とその状況を
冷静に観察してみるのもその居場所を知る一つの手がかりになるかも。

と言ってみたところで、、やっぱり心変わり。

天の声さん、あなたの言う通り、
もう堅苦しいことなんて考えないわ!!


”トキメキ”の正体や、どこからやってくるか、
いつ遭遇するのかなんて知りたくない。
予測する必要なんて全くなくってよ!

未知なるもの、ひとつでも多くあって欲しいから。

ただ、迎える準備だけはしておくの。
いつでもマインドはオープンに。

人の心はまるでライトキャッチャー。
だけど何をキャッチして光を集めるはその人次第。
だから晴れた日だけにきらめくって訳じゃないみたい。
ただ”心はクリスタルに”が必要条件。
不純物だらけじゃ虹色の美しい光は放てない。

*

そうして、あの子の小さな恋は、
ある日コンコンと扉をノックしてやってきた。
そして理由もなく心をかき乱した!
長い間眠っていた子供の頃の純真さを今目覚まさせちゃった。

あら、そんなに怪しまなくたっていいのよ。
だって、さっきも言ったじゃない。
それは、本当に稀に降ってくる奇跡の贈り物。
後先考えずに素直に受け取ればいいのよ。

それにしても、
あの子ったら本当に幸せそう!
あんなにファショナブルにもなっちゃって。
そして、とっても綺麗になった。。

あぁ、今願うは彼女の恋が成就することだけ!


・・・なんて、まっ赤な嘘。
あの唇と同じくらい。

私も恋していいかしら・・?

天の声:(わたしもちょうど、そう思ってたところ!)


24 Oct 2015

嵐と女。


 

 嵐は去った。

今となっては、よくあること。

八方塞がりだった状態は時間と共に緩みを増していって、
やっと通り抜けられるくらいの隙間を作り出したみたい。
柔らかく繊細なシルクの糸で編まれた布が
時を経て粗野なリネンに変化でもしていくように
ざっくりとした、でも肌馴染みの良い
柔らかな力強さに変わっていく。

嵐が去って、
女は生き残った。

もしかすると、それはまだまだ続いているのかしら。。
だってそこから立ち去ったのはこちらの方だから。

頼りない外壁でできたシェルターの中に居ては、
緊張や緊迫、不安や疑心暗鬼ばかり。
それらがもたらすものに
窮屈さ以外の何も感じないでいたけれど、
こうしてこっそりと扉を開けた目の前の空は
意外とカラッと晴れていたりもする。

それまでの記憶の一つ一つが
窓ガラスに張り付いた雫となって、
ただゆっくりゆっくり滴り落ちていく様を
肩越しに横目でチラリと見つめるだけ。

そこに少しの懐かしさと愛情を感じながら。

嵐がやって来れば、
女は強くなる。


「倒せるものなら倒してみなさい!」

少しニヤリとして見せたりして、
かなり挑発的。
その低い声の中にはもう落ち着きと余裕の色さえ帯びている。

これらの嵐は、全て乗り越えなければならない壁の数々。
不意に押し寄せるストレス。
無情にもかけられる負荷。

それらはそして全てサバイバルゲームへの
麗しいインヴィテーション。

やっと軽やかになった足取りをまたもや重くされるような、
まるで「よーい、ドン!」で始まる生き残りゲームを
遠隔操作か何かで誰かに仕掛けられているような気がするけれど、
強い女は逃げやしない。

「もう始まったらしょうがないじゃない!」
と開き直ったり、
「強い意志を掲げて戦うしかないんだから!」
と腹をくくって挑む覚悟だってできる。

そして分かったことは、
”女”ってほんとに強い生き物だということ!
他人が、それから自分自信が思っている以上に・・

それともただ単にこうかしら・・

立ち留まるのか進むのか。
二者択一の選択に差し掛かった瞬間、
頭ではとっさに後者を選んでいるという事実には、
人間生き残りのための脳内自動装置が備わっているというだけのこと。

「とにかくそこから遠くへ!」
迷いの無いストレートな口調のナビゲーションが鳴り響く。
すると、
その場でオロオロとした様子で立ち往生していた”こころ”の方は、
突然手綱で引きずられ、渋々移動。。

「とりあえずの被害は免れたでしょ!」っていうわけで。
これって、なんだか無理やりな応急処置。


嵐がやってきては去っていき、その繰り返し。
そして女はと言うと、、、


「こんなの、よくあることだわ!」
と、肩をすくめてみせる。
どんなに理不尽なリクエストにも
こんなに聞き分けがよろしくなっちゃって。。

あーぁ、少し歳を取ってしまったせいかしら。。。?

個人レベルでのサバイバル処方はきっと様々で、
スポーツに旅、歌に彫刻、それから料理、スカイダイビング、
新しい語学に自己啓発本にクスリに。。etc.
全てを掻き集める人の後ろでは、
全てを手放すことを選択する人もいる。
どれがベターともベストとも言えないもの。

そして自分の場合、
やっぱり新しい世界をクリエイトすることで
救われる何かがある。
時に荒れ狂う嵐のど真ん中に置かれても、思考は常に前方へ。
いつまでも前進していくことをモットーに、
胸を張って歩んでいく為に掲げる信念。

だけど時には、
「こんなに疲れ果てた心と体で、一体なにが出来るというの??」
というのが本音のところで。。

だから一旦休息をとって、全てはそれからに。
ほら、素晴らしいセルフマネージメントだってちゃんと備わっている。

さぁ、深く長い睡眠からやっと目覚めたら、
コップ一杯の冷たい水を飲み干そう。
そうすれば、デトックス茶でも飲んだみたいに、
このずっしりと重たい頭がきっとスッキリするはず。
それに、
体の所々に残る筋肉痛のような痛みは長い戦いで勝ち取った”勲章”というもの。
アザも切り傷も多少の打撲も、
きっとすべて美しいと自慢できるはず。

嵐の後に、
女はまた新しくなる。


もう一度ゼロからのスタート。
吹き飛ばされ消えていったアイデアやイメージはもう必要ないんだから。
白紙撤回された文書をもう一度始めから書き直すように、
新しい視点と好奇心とスタイルで。

コツコツと今やるべきことを積み上げていこう。
四角い砂糖の塊からだってピラミッドを目指すように、
その先に大きな何かが出来上がるというもの。

いつでも前進あるのみ。

「嵐よ、いつでもやってきなさい!」