15 Jun 2015

彼女のポリシー。



「さあ、行こう!」

彼が今、希望に満ちた手を差し出した。
その誘いがあまりに急すぎて、直ぐに答えられない彼女。

恐がりが第一の弱点。

「警戒なんてしてないわ!」

彼女の言葉に偽りなどない。唯・・
自分の心のどの辺がどの位エキサイトして、
残りのどの部分のどれ程がためらいや臆病さを感じているのか、
まずはちゃんと確かめたいという欲望が邪魔をしている。

考え過ぎが第二の欠点。

肝心な時に限って彼女はしどろもどろ。
気がつけばもうそのエピソードは終わっているし、
目の前にあったはずの彼の手も行方不明。。

ページをめくってはまたもとに戻すことを繰り返してる。

「えっと、、この気持ちはどの引き出しだっけ?」

Oh, Rose!

あなたの時計の針はいつも同じところでつまずくの、
もう気づいているかしら?
時代錯誤の迷路に迷い込むのがあなたの趣味なのね。。

週毎に展開するTVドラマに向かって、
“一旦、持ち帰って考えさせてください”なんてのは、
勿体ぶっていていささか苛つかせるっ!
いつもそう言ってるくせに、自分のことは全くわかってないんだから。。

あぁ、皆様、
こんな哀れな娘にご慈悲を!

Oh, no!  Rose!

このストーリーはあなたのものなのに!


彼女はあるポリシーの上に立っている。
それがどういうものか聞けばきっと教えてくれる。
彼女に隠し事なんてないんだから。
実際、全ておおっ広げ!
もうちょっとミステリアスになればもっとモテるのに、、
って周りにだって言われてる。
だけど、それが彼女というもの。

頑固。
恐がり。
寂しがり屋のお天気屋。
超現実的な夢想家。
洞察力が異様に長けていて、
逆に身動きがとりづらい。
忍耐強さがあるが故に見逃すタイミングの良い引き際。
情熱的だと謳われながらも、
冷めている自分の側面もちゃんと知っている。
美しさにただ憧れるよりも、
なぜ“美”は人を心地よくさせるのか、
その理由を知りたい。
「こうなりたい」という願望もない。
それは現状への満足や余裕からでなくって、
単にそれを“おもしろい”と感じないだけ。
そんな事より、
どうして人は願望を持つのか、その理由を知りたい。

彼女は知りたい。
まだ知らない未知の様々なこと。
小さな胸の内は静かな好奇心で満ちている!

まだ見た事のない外国の砂の色、
何色もの繊細な色を帯びた地層の幅、
綺麗な料理の盛りつけ方法、
美味しいと感じる食べ物の組み合わせ、
聞いた事のない言葉で交わすコミュニケーションや、
ウィットに富んだ会話と呼ばれている数々のおしゃべりetc..。


歪みのあるガラスドームの中、
一輪のバラの花がそのガラスの向こう側に拡がる世界を見つめている。

その眼差しはひどい近眼の人とまったくおんなじ。
自分を取り囲む周りの世界を必死に把握しようとするように
目を細めじーっと一点集中。

手作りのガラスの表面が真実を少しだけ湾曲させるから、
答えを出すのにいつでもちょっと時間がかかるのね。

彼女はそれらの中に真実を見つけたい。
だけど“真実”とは一体何なのか、彼女も知らない。

一体、あなたは何が欲しいの??

すると彼女は答える。

「言い訳でない本当の理由。
ミステリーでないノンフィクション。
修正のない音源の在処よ。」

これは暗号か何か?
私にはさっぱり分からないわ!

彼女がこの世界に求めるものには、解釈の難しい独特の色を帯びている。
彼女だけが抱えるポリシー。

ガラスの向こう側でいつでも上の空って見せてるけど、
あぁ、彼女の頭の中は今にもパンクしそう!!

ちょっと思い込みが過ぎるんじゃない?
ローズ、あなたはどうしていつもそんななの?

そんなんじゃ・・・



ある日、彼女は私に言った。

目的も意図も持たずに出発した星の王子様にちょっと嫉妬を感じてるんだって。

「出発したかったのはこの私なのに・・ガラスなんかで覆わないでよ!」って。

好奇心が彼女の生命線みたい。
もしもそれが無くなってしまったら。。。
あぁ!彼女は死んでしまう!
彼女に新しい酸素を!

だけど、彼女は死なんかよりも孤独が怖い。
気の優しいその人は、それを決して口に出して言わないけれど。
私にはちゃんと分かってるんだから。

Oh, Rose...

その生き方はあなたのもの。
純粋過ぎる一途なポリシーは何故に?

「だって、私は夢になんて生きたくないもの!」

ですって!




to be continued...