4 Oct 2014

ジャック・ドゥミ&ミシェル・ルグラン



ジャック・ドゥミがくれたもの。

芸術に生きる歓び。

夢を見てもいいということ。

ファンタジーはそこら中に散らばっていて、

形になるのを今か今かと待ち構えていること。

それはちょうど、地面に落ちたスパンコールが

太陽の光を反射してキラキラと輝き出すのと同じ。



ミシェル・ルグランがくれたもの。

感情の波の素晴らしさ。

その一揺れ一揺れが音符となってメロディーが生まれ、

言葉のないダイアログを話し始めること。

そしてちょうど、ジャズの軽快さが

雨の日を特別な日に変えてしまうように、

閉じた心をいとも簡単に開かせてしまう。



ジャック・ドゥミ&ミシェル・ルグラン。

最高の美学反応。

大学生だった頃、

彼らの作品を初めて見た時の感動は一生忘れない。

しばしば強ばりがちだったマインドは

水蒸気みたいに軽くなって上のほうへと浮遊していった。

「あぁ、なんて素晴らしいんだろう!」

溢れんばかりの色、映像、音楽が

彼らの感性を通って世界を歓びで満たす。




行き場を失ってふさぎ込められていた感情の塊が

ラッパの音と一緒に一気に外の世界へ吹き出した。

気づけば嬉しさのあまり涙がぽろぽろ、ぼろぼろ。。

そんな自分自身に驚いたけれど、

感動の涙は一番美しいと気がついた。

“アート”という意味を持たない言葉に

一気に命が吹き込まれるのを感じた瞬間。

「私は欲しかったのはこれだ!」

と確信した瞬間。

まるで大きな花束を腕いっぱいに受けとったような

そんな歓びに満ちあふれた瞬間。



コンセプトばかりを追い求める毎日の中では

時に頭がショートしてしまう程疲れ果てて、

人生の影の方へ引き込まれがちだけど、

彼らの作品に触れると、

悲しみや憂いさえも美しい色に染まって

朝日で目が覚めたように

もっとずっと明るい方へと導いてくれる。

そして、「YES」が全ての答えになる。

まるでお菓子をもらった子供に戻ったみたい!

嬉しくてたまらなくて、“喜ぶ”ことに夢中になって。。

自分に対して他人面だった“アート”が

「美しかったらそれでいいんだよ」

と軽く囁いたあと、

「仲良く手をつなごうよ!」

と手を差し伸べてくる。

そんな感じ。


「アート」という言葉。

それはいつでも空っぽで在ってほしい。

「種も仕掛けもございません!」

というマジシャンの言葉通り

何のカラクリもない空っぽのボックスなら、

夢と感動を好きなだけ沢山閉じ込められる!

そうしたら、自分はその空っぽな「アート」という箱に

どれだけの夢を詰められるんだろう?

観客が私の箱を開けたら、白い鳩が飛び出す?

それとも、

目に見えない感動のスパークルがそこら中に舞う?

詰まるところ、

「信じるか信じないかはあなた次第!」で幕は閉じるもの。

だから、自分を信じてやってみたい。


人の感情はたまに厄介で

笑ったり怒ったり、泣いたり、どうしようもなく落ち込んだり、

時に壮絶なドラマを生み出すけれど、

それは何かを生み出すエネルギーで特別な力を持った魔法のツール。

だから絶対に失いたくない大切なもの。

もっともっと感動が欲しい!

感動することは、理由なく価値があることを

時と文化と言葉を超えて

ジャックとミシェルが教えてくれる。

merci beaucoup.