20 Mar 2014

Lillian Bassmanの仕事


「3時にCHANELの前で」

そしていつも通り10分の遅刻。
大丈夫、きっと許してくれるはず。
気の置けない女友達との待ち合わせは、
私の甘えた心の証拠。

楽しみにしていたリリアン・バスマンの写真展が先日始まった!
今日の私たちのレッスンは“エレガンス”になることは間違いない。


  彼女の撮るモノクロの世界。
光が白で影が黒。

たったそれだけなのに、どれもハッとさせられる作品の数々。
全ての構図がどれも美しくて完璧なバランスに
まるで絵画を見ているような不思議な感覚になってしまう。

自らが生み出す“エレガンス”もあれば、
他人に見いだされる“エレガンス”もある。
その証拠にバスマンの審美眼。
エレガンスを捉える魔法の目。
私は彼女の目を、感性を持ってみたい。

ただの被写体をアートに変える魔法。


暗闇から人の頬骨だけが浮かび上がって
その人の存在をそっと明かす。
余白に眠る何者かの、静寂の中の息づかいを感じる。
だから少しミステリアスで魅力的なんだ。

“美”を捉えて“エレガンス”を引き出せるそんな技に
どれだけの努力と研究を重ねたのだろう。。


モノクロ写真や映画が好きな理由、
コミカルなものもシリアスなものも
全てがスタイリッシュな感じがするから。

でもそれだけ?
ううん、それだけじゃない。


惹かれているのはそこから浮き出る内側の世界。

色を消し去ると見えてくる。
目に見えない引力か何かの法則が働いて人の想像力を刺激する。
不思議なもの。
何かを制御すると何かが働きだす。
ほら、明かりを消すと音が集中してより良く聞こえるみたいな。

“全てを明かすな!”っていう声が聞こえてくるみたい。

きっと“エレガンス”とは、
最低限のもので明かされる
本質の“美”。

なんだか急に自分の絵から線を消したくなった。
複雑な線は全てを明かし過ぎる気がして。
一本、また一本と今すぐに削り落としたい、そんな衝動にかられてしまう。

そうしたらまた新しい何かが見えてくるかな?

thank you Lillian!



↓こちらinfoです。ご興味のある方はぜひ! 







11 Mar 2014

Heart of Glass



久しぶりに何にも予定がない月曜日。
アラームはセットなしで、気づけば10時半をとっくに過ぎてる。
世の中の多くの人たちにとっては嫌でも気が引き締まる日なのに。
なんて贅沢な一週間の始まり!

ふらつく足取りでキッチンに向かうと、
真冬の空気の冷たさに一気に目が覚めた。

「あれ?春はやってきたんじゃなかったっけ?!」

優柔不断な自分のごとく、春は行ったり来たり。
ふらりふらり、なかなか居場所が定まらない。

ソファに投げられたガウンをとっさに羽織ってとりあえず火を湧かす。
冬の朝のこんな朝支度が好きだったりして
コーヒーをすすりながらとりあえずぼーっとする。
これが必要。
それから雑誌をめくってみたり、
読みかけの本を2、3ページ読んではまた閉じる。
飽きっぽいから一気に読み終えることはまずない。

ふとテーブルの上に立てかけてあった一枚のDMが目に留まった。
ガラス作家の友人Tさんの展示会DM。

「そういえば、いつからだっけな。。?」

「あ!今日からだ!」

*
東京駅から歩いてすぐ、京橋辺りは今では古美術のギャラリーが
ずらりと立ち並んでいて歩くだけでも楽しいエリア。


鮮やかな色をしたガラス作品の数々。
それぞれ重さや形が違ってなんだかほっこり。

「どれにしようかな。。?」

可愛らしい作品たちはどれもニコニコと笑っているようで、
本当に作家Tさんのそのままなのがなんだか嬉しい。


今回お持ちかえりした箸置き3点。


キャンディーみたいに小さなガラスの子供たち。
手に取るとずっしりと重さがある。


光を握るとこんな感じかな。。

自分にはない鮮やかな色彩が
心に絡まった糸をスルスルと解していくように
複雑な心模様をリセットし、同時に軽くもしてくれるようで。

夜、「お嫁に貰ってくれてありがとう」と、彼女からのメール。

人の手から生み出されるものはその人の感性の賜物。
だから、大切に大切に受け取りたい。

そう言えば昔、、
“heart of glass...”なんて歌があったな。

Once I had a love 
and it was a gas
Soon turned out 
I had a heart of glass..

‘ガラスの心’って言うと冷たいイメージだけど
果たしてそれは本当?

ピュアな人ほど傷つきやすい。
光をいっぱい通すからそれだけ屈折も多い。
地面に落とせば一瞬で粉々に割れてしまうように、
ガラスの心の持ち主って実のところ、
壊れそうなほど純粋でウソのない人のことだったり。


だってほら、
こんなにも光をいっぱい取り込んで自分色を放っている。


なんか魔法の石ころみたい。
‘これを身につけると透明人間になれます’
なんてね。。

色はあっても常に透明でピュアなハート、
時には頑張るのは止めて
透明人間みたいに軽くなるのも悪くないな。

次は水彩や墨を使って
ガラスのように透明感のある絵を描いてみよう。


- good night -