23 Feb 2014

ヒヤシンスの唄



「もう、いいかい?」

「まぁだだよ。」

君の不在に、

気がつけばもう2月も終わり。

長く居座った寝椅子も

街で気まぐれに買ったヒヤシンスも

もうそろそろ待ちぼうけ。


せっかく“春”を告げる花なのに!

君はまだ帰ってこない。。。

もし、今この瞬間に

君がその戸を開けて

「ただいま!」

と元気に姿を現したなら、

きっと気づくはず。

この小さな部屋を満たしているのは、

怒りや悲しみの何者でもない。

それは、

紫色をした少し体解な様子の

このヒヤシンスの香りだと。


もうこんなにも大きく花開いた。

そうだよ、

もうそれだけの時が経ったんだ。

それに、

私の選んだ球根はやっぱり

君の好きな紫色だった。

君のいないしばしのお留守番は、

まるで無声映画。


白黒の画面に映る

少し大げさなジェスチャーの俳優達。

頭の中の声のない独り言が

テキストになって

不安の隙間を埋めてはくれるけれど、

場違いな陽気なピアノのBGMが

やけに空しく響くだけ。。


そんな戸惑いに

気に留める者なんて誰もいやぁしない。

ただ私のヒヤシンスだけ、

彼女だけが知っている。

時計はちゃんと時を刻み、

ストーリーは続き、

いずれ幕を閉じることを。


さあ、

そろそろ彼女の辛抱が切れる頃。

機嫌を損ねたヒヤシンスにご用心!

咽せ返るほどの強い香りは

階段を伝ってどこまでも

遥か遠くの

君のもとまで飛んでいく。

けれど、

彼女はいつまでも腹を立てたりはしない。

だって、彼女の心は君のもの。

ただ無邪気に純粋に

「おかえり」と、早く言いたいだけ。


情緒不安定なのは生まれつき?

「意地悪な人、あなたなんて大嫌い!」

「ねぇ、たまには拗ねてみたっていいでしょう?
こんなに一生懸命咲いているんだから。」

「あたしは一人でも大丈夫!」

「お願い、早く帰ってきて。。」


私の可愛いヒヤシンス。

もしも、

あなたが誰かの為に泣くのなら、

その涙さえ紫色なの?

- good night -









14 Feb 2014

愛, Love, Amour...





2杯目のワインがそろそろ回り始める頃、
壁にかけた時計の針が
いつもより少し物憂げに時を打っている。

今夜は“愛”について語りましょう。

特にこの日本において、
2/14のValentine's Day
男女間の、あるいは‘恋’を伴う二人の間の
”を祝福する日だから。


0時を過ぎた。
さて、“愛”について少しだけ考える時間。

語り尽くされた愛の定義なんかに興味はない。
その先の、行動。
そう、愛のある行動とは・・?

*

‘恋’は一人で芽生えるけれど、
‘愛’は育てるもの。
植物のようにちゃんと水をやったり、
光を当ててやらないと
弱ってしまう。

学生時代の友人との会話を思い出す。

‘恋’を伴うふたりの間の出来事。
理性を超えて始まるロマンスは
いつでも奇跡的で心が躍るけれど、
それは時と共に超現実的な人間関係と変化していく。

追い風の時はいつだってしあわせ。
ふたり同じ未来に向かって歩いている。

問題は来る向かい風。
仕事に勉強、家族関係に金銭問題、その他云々。
愛情以外のそんな問題が忍び込んだとき、
あなたはどうする?

その状況を主観的に受けとめて
自己の感情に率直に従うか?
それとも、
冷静さを保って客観的に
ふたりにとっての最善の回答を導きだすか?
そう、頭をフル回転させて!

ふたりの選択がイコールであれば万事解決。
でもそう行かないことがしばしばで。。
最終的に、
‘I’で考えるか、‘We’で考えるか
そこがキー。

“愛”との向き合い方は人それぞれ。

愛の為に
しがみつく人、
手放す人、
走り去る人、
留まる人、
戦う人、
諦める人、
忘れる人、
追い求める人、
待つ人、
そして探す人。

それらにどれも不正解はないような気がして。。
全ては選択の中に答えがあり、
その受け止め方の先にふたりの未来がある。

相手のことも自分のこともどちらも大事。
大事に思えば思うほど、悩むのは当然で
大事さ故に、その壁は厚いのかも。

けれどそんな時こそ、
相手の為にどれほど自分が身を引けるか?
それも、至ってカジュアルな体で。。
自分の苦しみを他所にして
相手にいかに負担をかけないように。

ここが人としての品格
そして愛情の深さが問われるところ。。かな?

だけど実際は、
頭では分かってはいることも
欲や感情がある限りこれは本当に至難の業!
もう、これは修行としか思えないこともあったり。

ただ、そんな行為が自分の中の“愛”を強くしていく。
やさしさと思いやりに満ちた
健やかな“愛”に変わっていく。

自分の中の“愛”を発展させること。
それが大事。

*

人は流れの中に生きている。
その心模様もだって変化していく。

だから常に柔軟な姿勢で
どんな向かい風の中にいようとも
次の風向きの変化を信じて
忍耐強く、
いつでも穏やかな心持ちで。

そうやって自分の中の“愛”の育て方も
たまにはいいんじゃないかな?

結局は、
ふたりが幸せでいること
それが最終的な目的、
そして目標になるように。。



 あぁ、時計の針ももう1時を過ぎてる!

さぁ、この辺で
今日のひとりセッションも一旦お開きにして。
暖かい紅茶を一口飲んだら
大きな“愛”を想像して眠りにつこう。

自分の手元にないけれど
“愛”はもうすでにそこにあるのだから。。。と。

Valentine's Dayはとても素敵な日。
こんな風にいつまでも
時には“愛”を語りましょう。
to be continued…..だな。


- good night -




7 Feb 2014

お知らせ 〜“Voyage to the Moon”〜



本日(2/7)発売の女性雑誌『CREA』
星占いページイラストを担当しています。
なんと今年で創刊25周年になるそうです!
リニューアル初回は大好きなパリ特集!

皆様、書店にお立寄りの際はぜひご覧くださいませ。

*

今回のイラストテーマは、

“Voyage to the Moon”

12の星座からなる一連のストーリーになっています。

大好きな映画、
ジョルジュ・メリエスの「月世界旅行」(Le Voyage dans la Lune)
からインスピレーションを受けて
不思議な幻想の世界へと誘う月旅行を思いつきました。

ユーモラスに、
そして少しメランコリックに。。

私が描きたいのはそんな世界です。

今回、自分の中で新しい配色や表現方法も試みました。

色を“自由”にすることと“コントロール”すること。

いつも絵を描く時には
無意識と意識の合間を行ったり来たりしていますが笑、、
今回もそんな感じで配色の制御解放が生み出す
微妙なバランスを色々と試しています。


12星座のイラストはホームページの方にも
アップさせて頂きますのでぜひご覧ください!
Newsからお入りいただけます)

http:www.suzuki-ai.com

*

現実に少しだけ想像の世界を!

さて、皆様の今月の星模様はいかがでしょうか?

 Bon Voyage !



5 Feb 2014

Vive le Printemps!


が来た。

天井の片隅に、玄関の脇に、いつもの坂道に。

家の軒先に留ったつがいのハト達の
あまりに幸せそうなその光景に
追い払う気も萎えてしまって。。

春になると感じる幸せ。。

甘く軽やかな綿菓子のような
やさしい春の香りが
一瞬だけ肌をかすめるあの感じ。

「気のせい?」
そんな風に感じ取るのが
日本の‘’らしい。

その訪れのサインは音も立てず
繊細に、本当に繊細に
風と共にふらりやってくる。

芽を出す前の土の下の種に
ふうっーっと息を吹きかけて

「そろそろ目覚める時間だよ。」

と、柔らかく囁きかける。

が好き。

何かが始まる、そんな予感

だからじっとしてなんていられない。
春を探しに行かないと!

疲れたマインドじゃ、
そんなサインも気づけないから
少しだけここを離れよう。
最低限の荷物をカバンに詰めて
新幹線の切符を手にしたら、
さあ、出発!

そう、
ipodにはla vie en roseをいれて。
春にはピアフが良く似合う。




空。
湖。
風。

「あぁ、幸せ。。」

まだ完全に澄み切る前の
靄のかかった青いを見上げてひとりつぶやく。
束の間だけど素晴らしい瞬間。

幸せはお金をかけなくても感じられる、
‘春’がそれを教えてくれるみたい。

今年もこの季節を迎えられるしあわせ。
願いは春のような人生!

春よ、万歳!


La… la... la...